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祖母が亡くなった。今日の朝早い時間に、魂だけそっと身体から出ていって、空に昇っていってしまった。

 

私はいま入院中で、祖母の顔にも骨にも触れることはできない。火葬されている間にのぼる煙も、見ることはできない。今すぐにでも祖母に会いに行って、わんわんと大声をあげて泣きたい。今は一人、祖母のことを思い出しては声を押し殺して、泣いている。

 

本当に真面目で優しい人だった。小さいとき、お気に入りのおもちゃを少し高い場所から落として泣いていた時、祖母はそこから降りておもちゃを拾ってくれた。眠れないときは子守唄を、私が好きだといったお菓子は、祖母の家に行くたびにあった。

 

2年半前、東京に行くことを祖母に告げずに飛び出してしまった。実家が嫌で飛び出して、転がり込むような形で恋人と同棲した。祖母は体調が悪くなっていって、入院した。私の母や伯父が見舞いに行くたびに、私の名前を呼んでいたらしい。また、どんどんと体調が悪くなって、声も出せなくなった。先月、実家に帰った。一度、祖母のお見舞いに行こうと、伯父が連れて行ってくれた。面会時間前で会えませんと、警備員に言われて「私が退院したら、会えるでしょ。次はちゃんと時間把握しておかないとね」って、伯父と会話したのを覚えている。会えずに、さよならしてしまった。

 

私は、祖母になにもできなかった。なんでももらうばかりで、何一つとして返すことができなかった。もっと何かできたはずだと、今更考えてもしょうがないけれど、それでもやっぱり考えてしまう。いつでも祖母を思い出せるように、もっと触れておいたらよかった。祖母は照れ屋で、抱きしめられることを恥ずかしがったけれど、たくさん抱きしめていればよかった。

 

毎朝、祖父の仏壇にお参りをしていた小さな祖母の背中。「今日も一日見守っていてください」と小さく言っていたのを覚えている。もう天国で、祖父に会えているだろうか。真面目で優しい祖母のことだったから、きっと道に迷わずに会えただろうと思う。

 

天国はどうですか。あたたかいですか。おばあちゃんの好きな食べ物は、たくさんありますか。会いたい人には、もう会えましたか。私は今日、何をしていてもおばあちゃんのことを思い出して、泣いてしまいます。会いに行けなくて、ごめんなさい。会っていない間も、私のことを気にかけてくれて本当にありがとう。偶然にも、今日病院内で流れた子守唄に、おばあちゃんの歌ってくれた子守唄を重ねて、声をあげて泣いてしまいました。おばあちゃんからもらった愛情を、上手く返すことができなくて本当にごめんなさい。本当に本当に大好きでした。これからも、それは変わりません。

 

私はまだ、現実味がありません。退院したら、会いに行って「痩せたね」なんて軽口を言ってくれる気がずっとしています。甘いものが好きだったから、二人でケーキでもつついて話したいよ。何も言わずに、急にいなくなるなんて、おばあちゃんらしくないよ。

 

退院したら、その足で真っ先に会いに行くね。おばあちゃんの好きな食べ物なんでも買っていくから、待ってて。こんなこと書いてないで、真面目に仕事しなさいって怒られそうだから、ここらへんで終わります。

 

長い長い闘病生活、本当にお疲れ様でした。天国では思う存分好きなことをして、ゆっくり休んでください。気が向いたら、私に会いにきて。